二次利用作品に関するお知らせ

2025年2月5日
                              一般社団法人映像実演者協議会
                                  代表理事 亀山 早苗
 二次利用作品に関してのご報告をまとめましたので、以下ご高覧のほど、よろしくお願い申し上げます。
 2025年1月14日に開催されました第7回実演者地位向上委員会におきまして、当協議会に対して以下のような提言が出され、当協議会におきまして同提言を受領いたしました。これを受け当協議会では同年1月20日に理事会をおこない、以下のような申し入れを業界団体に行うことを決定いたしました。

(1)実演者地位向上委員会よりの提言に関して(本文参照)
<二次利用作品に関しての提言>
 当委員会は、AV作品の二次利用について検討を重ねてまいりました。前回の委員会においても著作権、AV出演被害防止・救済法(性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律)に精通した複数名の弁護士から意見を聴取するなどをし、それを元にさらに当委員会で検討をいたしました。この検討結果に基づき、貴会に対し、以下の提言を行います。
 AV作品は著作権法上では映画の著作物とされ、いわゆるワンチャンス主義が適用されますが、ワンチャンス主義は任意規定であり、契約によってその適用を排除できることに加え、出演者の地位を向上するという観点から、出演契約等において過去の出演作品の二次利用について出演者の意思確認がなされ、二次利用についてその許諾を要するものとすることが望ましい姿であると考えます。
 また、AV出演被害防止・救済法4条1項は、出演契約は性行為映像制作物ごとに締結しなければならない、と規定しているところ、撮影した映像を新たに再編集して「オムニバスAV」などの二次利用作品として制作公表する場合及びその作品が出演契約に基づく性行為映像制作物と「同一性」のない、別の性行為映像制作物として制作公表されるときには、最初の出演契約とは別の「出演契約」として新たに出演者との契約を締結する必要があります(内閣府のAV出演被害防止・救済法内閣府解説資料にも同趣旨の解説があります)。そして、この同一性の判断は容易ではない場合があり、特に作品の文脈などが元作品とは異なるようなときなどには、再度倫理上の審査を行うこととされてきたことを考慮すると、この同一性の範囲の確定のためにも、あらかじめ出演契約等において二次利用について出演者の許諾を要するものとした上で、その許諾の範囲を契約上できる限り明らかにしておくことが妥当だと考えます。特にこの同一性の範囲が不明確な場合等には、二次利用作品を制作・公表する際に、再度別の出演契約を締結し、契約書において別途その報酬を定めることの必要性が高いものといえます。
 以上の事から、AV作品を出演者に無許可で、契約を締結することなしに制作・販売されている事態は、出演者の地位を向上するという観点からもAV出演被害防止・救済法の趣旨からも望ましいことではありません。
 貴会におかれましては、以上のような二次利用作品の制作・公表に関する出演者の意思確認や契約の締結が望ましいものである
ことを出演者及び関係者に働きかけるようお願いいたします。 (※原文のまま/委員会委員名は文末に記載)

(2)当協議会から業界団体への申し入れ
 これまで不透明であった二次利用作品の取扱いに関して、過去作の映像を抜粋して作られたものを含め、全ての二次利用作品につきまして、新たに契約を取り交わした上で作品の公表・販売を行うことを明確化し、各事業者に周知徹底するようお願いいたします。
 (1)の提言にも記載がありますように、出演者に無許可で契約を締結することなく制作・販売されることは、出演者の地位を著しく貶める行為と考えられ、出演者の地位向上を目指す当協議会としましては看過できないものとなります。
 AV出演被害防止・救済法にも記載がありますように、二次利用されたオムニバス作品におきましても、一つ一つ丁寧な説明とともに制作者・出演者間で契約を取り交わし、また二次利用料やその支払時期等を明確に示し、二次利用料につきましては契約に則り制作者から出演者に支払期日までに支払うこととし、制作者側・出演者側の双方が十分に理解した上での二次利用作品となりますようお願いいたします。
 是非ご検討をいただき、出演者にとって少しでもその地位が向上するようご協力をお願いいたします。

<実演者地位向上委員会>
委員会メンバー
・園田 寿 (甲南大学名誉教授・刑法学者・弁護士)
・髙山 佳奈子(京都大学教授・刑法学者)
・要 友紀子 (元SWASH代表・人権活動家)
・平 裕介 (弁護士・行政法研究者)
・亀石 倫子 (弁護士)
・守 如子 (関西大学教授・ジェンダー学者)               ※順不同、敬称略

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